私のアイコンの基板に関しての解説です。どうしても初の出展側でのイベント参加の前に記事を作りたかったので優先して書かせていただきました。
初めてKiCad*1で設計・発注した思い出深い基板です。「人間味を検出する基板で、人っぽいものを口に当てると目が光ります。」という建前で作りました。
作ったのは去年の冬ですが、できるだけ思い出しながら書きました。
目次
制作の経緯
当時Ogaki Mini Maker Faire 2018へ初めて行ったのですが、出展者の方々のレベルの高さに圧倒されました。中でもプリント基板*2を使われている方が多くいらっしゃいました。
色々な方に色々なお話をお聞きしましたが、その中でヤバしもデンシさんという方ににどの様な手順でプリント基板を作っているのか伺い、何か自分でも作ってみようと思ったのがきっかけです*3。メイカーイベントに出られている方は質問に丁寧に答えて下さる方ばかりで、素敵だなと思います。
ヤバしもデンシさんの展示の紹介記事です。
紹介いただいたサイトです。
その後友人からKiCadの本を借りる機会があり、本格的に作ってみました。
初めてのプリント基板設計であったため、できるだけ単純な回路構成でマイコンは搭載したくありませんでした。しかしながら、今までマイコン無しで作った回路は以下の電脳伝説さんの記事を参考に作ったフォトリフレクタ*4とオペアンプ*5を用いた心拍センサのみでした。
それをそのままプリント基板化するのは問題があると感じ、より簡素にして生まれたのがこの「人間味センサ」です。
蛇足:心拍センサの活用
少し話は逸れますが心拍センサはarduinoに繋いでAD値を読み取り、USBケーブルのシリアル通信でPCへ送り、Processing*6で表示したハート型を同期させて動かして遊んだりしていました。
以下は #Processing の使い方がよく分からずハートのサイズを変えるのがうまくいかなくて困っていた頃の様子です。
— パスコンパス NT名古屋9/21.22出展 (@pscmps) September 16, 2019
これはこれでちょっと面白いですね pic.twitter.com/m7aOQyHH1H
人間味センサの使い方
1. 人間味がありそうなものに口を押し当てます。 2. 目が光れば人間味があります。光らなければ人間味が少ないかもしれません。
#NT名古屋2019 9/21.22
— パスコンパス NT名古屋9/21.22出展 (@pscmps) September 14, 2019
【出展予定物④】人間味センサ
口に手を当て人間味を検出すると目が光るという胡散臭いセンサです。こちらも後日ブログに載せる予定です。 pic.twitter.com/4pBIg7M2jP
仕組み
人間味センサはフォトリフレクタと呼ばれる素子を用いた非常に単純な回路でできています。フォトリフレクタには赤外線を出す「赤外線発光ダイオード(IR LED)」と赤外線を受光すると電流が流れる「フォトトランジスタ」が隣り合って配置されています。以下リンクを参照ください。
フォトリフレクタ(反射タイプ)LBR−127HLD: 半導体 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
人の指は赤外LEDに密着していても赤外線を通しますが、血液中の酸化ヘモグロビンは赤外線を反射し、反射量に比例してフォトトランジスタに電流が流れます*7。一方で金属や黒い紙等は赤外線を通さないため、フォトトランジスタには電流が流れません。
この違いを利用して「人間味」を検出していると言い張ります。人間「味」と逃げを残しているのはガラス等赤外線を通すものにぴったりくっつけても反射してフォトトランジスタに電流が流れるためです。結果としてガラスは人間味があるということになります。絵で描くとこんな感じです。
試作機の推移
人間味センサ1号
1号は実はブレッドボードでも基板でもありませんでした。空中配線に半田付けをしてボタン電池2個でスイッチは素子の足のバネ性で確保というストイックな仕様でしたが作るのが大変で、今思えば本来の「プリント基板製作の練習をする」という目的から逸脱していました。
実物を紛失し、製作途中の写真しか残っていませんでした。
人間味センサ2号
2号はユニバーサル基板で作りました。こちらで一通りの素子の配置等を決めようとしていましたがまだ人間の顔の形に配置するという発想が思いついておらず地味でした。
ボタン電池駆動で背面にフォトリフレクタ、表にLEDがついています。
人間味センサ(現行)
一通り動作することが確かめられたのでKiCadを使って設計してみました。なかなか慣れずに苦労しました。できるだけ顔の表面に配線が来ない様に工夫したり依頼直前で穴間隔の間違いを見つけたりしつつ基板業者様へデータをまとめて依頼をかけました。
使用パーツ一覧
部品の種類 個数 型番 メーカ の順です。
- 抵抗(1kΩ) 1個 CFS50J1KB FAITHFUL LINK INDUSTRIAL CORP.*8
- 抵抗(47Ω) 1個 CFS50J47RB FAITHFUL LINK INDUSTRIAL CORP.*9
- フォトトランジスタ 1個 LBR-127HLD Letex Technology Corp.*10
- スライドスイッチ 1個 IS-2235-G Switronic lndustrial Corp.*11
- 電池ボックス 1個 CH25-2032LF COMFORTABLE ELECTRONIC CO., LTD(COMF)*12
- LED 2個 OSY5CA3131P Opto Supply*13
目のLEDは秋月の処分セールで大袋に入っていたものを使ったのですが、足の片方が板状になっており、奥まで刺さらないという問題があります。そのためカバンにつけていると高確率で目が折れ曲ります。
回路紹介
LEDがスイッチの様な記号になっていますが、お気になさらないでください。
イベントに参加する際にはこの人間味センサを首からぶら下げて、私だと認識していただけるようにしようかなと考えています。
読んでくださりありがとうございました。
*1:フリーの基板設計ソフトです。
*2:穴だらけの汎用基板ではなくPCの中の基板等、専用の基板です。
*3:あの頃の私はTwitterアカウントもブログもありませんでしたし、一瞬お話をお伺いしたのみでおそらく覚えていらっしゃらないと思いますが、本当にありがとうございました。
*4:仕組みの項でご説明します。
*5:波形を増幅等できる回路です。
*6:Javaベースのビジュアルプログラム向けのソフトです。
*7:本来の心拍センサは酸化ヘモグロビンの流れの量の微小な変化を増幅して読み取ることで心拍の波形を読み取ります。
*8:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-07820/
*9:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-07799/
*10:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-04500/
*11:http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02627/