パスコンパスの日記

何か色々作るのが好きです

【レポート】チームラボに初めて行った

からあげ先生のこのツイートを見て名古屋でチームラボのイベントをやっていることを知り、先日初めて行ってみました。

目次です。

花が動物になって歩いてる展示

プロジェクタで壁に色とりどりの花で構成された動物が歩いていました。

プロジェクタの切れ目がどこにあるのか、どれ位ラップしているのかが個人的に気になりましたが手をかざしたりしてみてもいまいちわかりませんでした。

天井のたくさんのプロジェクタ。カーブした曲面でも違和感なく投影されていて驚きました。

描いた絵が飛ぶ展示

紙にクレヨンで描いた絵(飛行機や鳥、蝶)をスキャンして空を飛ばせる展示がありました。

飛行機を選んで、あえて頭は鳥っぽくしてみましたが、途中から飽きて飛行機に戻しました。クレヨン触ったの何年ぶりだろう。

そのままオートで飛ぶのとスマホから操縦できるのを選べました。

その他の展示

他にもケンケンパをする展示や

磁石で貼り付けたオブジェクトで小人と戯れる展示、

海の生物の絵を描いて泳がせる展示等がありました。グロいクラゲを描こうとしたけど泳いでる様子はいまいちグロくならなかったです。

どこかで見たことがある様な気もする生き物に囲まれるグロクラゲ。

まとめ

初めて体験しましたが、インタラクティブな展示がたくさんあって面白かったです。ただ、個人的には技術的な解説がもしあったら更に嬉しかったです。アート寄りな印象だったので解説を求めるのは野暮なのかもしれませんが。読んで下さり、ありがとうございました!

振り返り2022/9〜2023/9

月末ギリギリですが毎年恒例の振り返りをやります。なぜこのタイミングかというと、X(旧Twitter)のアカウントを作ったのとブログを始めたのが9月だったからです。

2022/9

Maker Faire Tokyo

見学に行きました。生で見たことのなかった作品を見れたり、直接お話しできるのでやはり展示イベントは楽しいです。あまりに作品数が多く、記事にするのは諦めましたが投稿はしていたのでいくつか抜粋します。

NT富山

出展しました。NTイベントは比較的ゆっくり他の参加者の方と話せるのが好きです。

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2022/10

実はこの時期に引っ越しをしていたので創作活動はあまりできていないです。つくろがや!というものづくりイベントの道案内のための写真を撮ったりサイトの準備はしていました。

2022/11

つくろがや!

ものづくりイベントつくろがや!の初開催でした。初めてでしたが、大きなトラブルもなく楽しんでいただけてホッとしました。2023は同時期にNT名古屋があるので年明けの4月頭位にできたら良いかなとぼんやり思ってます。また決まってきたらアナウンスしますのでぜひ遊びにいらして下さい。

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インタビュー協力いただいたロボット座談会さんとご一緒にまとめた振り返り記事の①です。

note.com

2022/12

Ogaki Mini Maker Faire

出展しました。Maker Faire系のイベントはたくさんお客さんが来てくれるのが魅力だと思います。遠くからでも見える様に展示方法を工夫してみました。色々トラブルもありましたが、パレード参加等等、楽しく過ごすことができました。いくつかポストを抜粋します。

晦日ハッカソン

実家で大垣ミニメイカーフェアのマンガを描いて、コマの一部をサーボで動かそうとしていました。結果からは部品が足りずこのタイミングではサーボで動かすところまではできませんでした。

2023/1

創作活動でメカトロ同好部で合同作品を作ろうと色々試行錯誤していたのですが、ちょっと頓挫してしまっています。

後は年賀イラストを描きました。

2023/2

NT加賀

出展しました。この時はマンガのストックが無くなってきたのでライブペインティング的にその場で描けば一石二鳥?と思って少し試してみましたが、作業中だと近寄り難い雰囲気が出てしまう様でいまいちでした。

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2023/3

こっしぇる!

出展しました。つくろ〇〇系列、千葉のイベント初開催です。実はコミケを除いて関東での展示は初だったので新鮮でした。普段あまりお会いできないネットの知り合いの方とか大学の友達とかにも会えて楽しかったです。

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2023/4

つくろがや!コマつく

開催しました。二日間でその場で3D CADを使ってコマを設計し、3Dプリンタを使ってその場で出力するというイベントです。顔見知りの方も何人か遊びに来てくださり、何と2日目に道場破り?の参加をいただいたりと予想外の出来事もありつつ楽しく過ごすことができました。seed松岡さんとGHz2000さんには大変お世話になりました。ありがとうございます。

Maker Faire Kyoto

翌週のGWの頭には京都で展示でした。なかなかなスケジュール。かなり盛況でした。いつも人気でお話がお聞きできていなかった方と話せたり、M5のJimmyさんにお会いできて良かったです。また、懇親会でカズヤシバタさんの活動に対する姿勢等を目の当たりにして衝撃を受けたりしていました。その後は宇治を中心に観光したりしました。

後、ホテルの洗面器が人間味マスク2代目と全く同じものだったのが面白かったです。

2023/5

M5MeetUpSpringTour2023

GW中盤、東京のM5StackのMeetUpに参加しました。参加特典も豪華で驚きました。最後のプチ展示会もわちゃわちゃしていて楽しかったです。その後はつくる〜む海老名の方とお話ししたりして深夜まで楽しく過ごしました。ありがとうございました。このGWで色々思うところがあり、久しぶりに本気で入賞を狙ってマウザーアワードというコンテストに申し込みました。

翌日はガンダムを見てサイズに圧倒されたりしていました。

技書博

見学に行きました。出展側で申し込むことも迷ったのですが、あまり即売会には行ったことがなかったので様子見と考えました。展示を少し見て知り合いの方にご挨拶した後は見本誌コーナーで立ち読みし、欲しい本だけ買って帰りました。普段の展示だと何も気にせず話しますが、買わないかもしれないのに話すのは悪い様な気がしてしまったのです。ちょっとこの辺りは慣れていきたいですね。

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2023/6

NT金沢

出展しました。今回出展枠があっという間に埋まってしまったのでみやこ電子工房さんと相談していつも仲良くさせていただいてるTMDものづくり工房さんとBotalabもスペースを共有しての展示をしました。いつもイベント前日は睡眠時間を削ってしまいがちですが、今回は後光リュックという作品を作り込んでいたら一睡もできませんでした。体に良くないのでやめた方がいいと思います。1日目の展示後は反動で12h寝ました。

2023/7

ひたすら後光リュックを作っていました。後はからくりミュージアム明治村に遊びに行ったり、身内向けのイベントがあったりなかったり。

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2023/8

ひたすら後光リュックを作ってました。他には京都や琵琶湖に観光しに行ったり東京に行ったりしてました。実は下の小説(?)は京都のマンガ喫茶に泊まってそこで投稿したものだったりします。そのため、挿絵もアナログです。

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2023/9

マウザーアワード・NT富山

16.17日が怒涛のスケジュールでした。16:30頃まで愛知の自宅でマウザーアワード発表の後に電車で富山まで移動して漫画喫茶に泊まり翌日NT富山に出展して夜帰る。めちゃくちゃ楽しかった。

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まとめ

何だかんだものを作ったりイベントに出たり充実した1年だった様に思います。メイカーフェア東京に出たいというのはアカウントを作った時から当時のTwitterのプロフィールに書いて今も残していますがなかなか叶わないです。逆に達成してしまったら何かが燃え尽きるかもしれない?まぁでも、やりたいことはまだ色々あります。オープンにしておくと達成できる確率が上がりそうなので書いてみます。一年後見直してどうなっているか。

  • オリジナル構造のペンプロッタ作ってみたい
  • ソレコンに出せる作品を作ってみたい*1
  • 萌え基板作りたい
  • めかとろろ3人のフィギュアか推しぬい作ってみたい
  • いつかめかとろろのアニメOP風映像を作りたい*2

読んで下さり、ありがとうございました!

*1:上のペンプロッタのペン上下をソレノイドにすればいける?

*2:そしてスタッフロールを全部パスコンパスにしたい

【レポート】NT富山(2日目のみ)に出展

9/17(日)にNT富山というものづくりイベントへ出展して来ました。

1日目はマウザーアワード(別イベント)に参加

本当なら2日間出たかったのですが、土曜にはマウザーアワードという電子工作のコンテストがありオンライン発表をしていました。マウザーアワードではありがたいことにProtopedia賞を頂くことができました。

配信のアーカイブはこちらから観れます。上位5組はMakerFaireTokyoでの出展権がもらえるので残念でなかったと言えば嘘になりますが、プレゼンも制作もやり切ったので悔いはないです。

2日目はNT富山に参加

NT富山の公式サイトはこちらです。Xのリンク等はこちらを参照下さい。また例のごとく、時間やタイミングが合わず全ブースは周れていません。すみません。また、何となくブースの配置順としましたが、順不同です。

NT富山2023 - PukiWiki

目次

あるば〜とさん、ファントムシーフさん

銃型コントローラで動かせるマイクロビットのハンド付きロボ、巫女さんのロボ、自律含む熊のロボを展示されていました。

ハンド付きロボは色合いがまるで既存品の様でしたが、お話をお聞きすると合う色に塗ったとのことでした。お話を聞かないとわからないのでお聞きできて良かったです。ありがとうございました!

HAL900さん

音ゲーの自作のコントローラとVTuberの方のヘッドホンを再現したものを展示されていました。 今回準備の時間に中身を見せていただいて工夫がめちゃくちゃ面白かったです。

他にもボタンやアクリル樹脂を染色している話や今後の販売の展望等々色々教えていただきました。ありがとうございました!

まつLab&計測・解析ラボさん

CCDを利用した簡易分光器を展示されていました。プリント基板化されていて、安定して動作がされていそうでした。分光器を布教したいとおっしゃっていたのでまたどこかのイベントでご興味のある方はぜひお話をお聞きしてみてください。ありがとうございました!

良電算術研究所さん

RustでxiaoのRP2040のモデルのロボットのプログラミングをされていました! 導入の方法等もブログに書かれているとおっしゃっていたので探してみましたが、おそらくこちらの記事と思います。後で読んでみます。

組込みRust爆速入門―Raspberry Pi Picoで電子工作 | 艮電算術研究所

また、(おそらくGoogle colabの様に?)rustの環境構築をしなくてもRustをブラウザ上で実行できるRust playgroundというサイトも教えていただきました。まだすぐにRustを使う予定はないですが、気が向いたら試してみようと思います。ありがとうございました!

Dr.Kittyさん

イチゴジャム(食べ物ではない)を使った作品を色々展示されていました。イチゴジャムはベーシック言語が使える教育用のマイコンです。

私はExcelのビジュアルベーシックを少し触ったことがある程度だったのですが、フルカラーLEDの点灯のプログラムをレクチャーしていただき何となく全体の流れをイメージをすることができました。ありがとうございました!

Ghz2000さん

M5とロードセルを使ったモニタ装置、同人誌、チップLEDが載ったバッジ、ジャンク市等をされていました!また、NT名古屋の告知もされていて、日程は11/18,19とのことでした。個人的にぜひ出たいです。ありがとうございました!

NT名古屋2023 - PukiWiki

AHoDRIさん

たくさんドローンを展示されていました。中でも心惹かれたのは変形するドローンです。サーボでリンク機構を動かして羽が折り畳まれます。この時、プロペラの位置もギヤを介して微妙に動くのがめちゃくちゃかっこいいです。ロマンでした。ありがとうございました!

秋葉原ロボット部さん

修理OKはんだ付けコーナーがあり、朝の時間からお世話になりました。私の人間味マスクの電源供給用のマイクロUSBコネクタが浮いてしまっていました。

作品としては同人誌やはんだ付け体験、ブロックプログラミングで植物への排水や吸水ができる作品等を展示されていました!時間の都合で体験はできませんでしたが、すごくにぎわっている印象でした!ありがとうございました!

HanDenさん

ハードディスクでの演奏とフレキシブルLEDを展示されていました。今回は電圧を上げて演奏いただいたのですが、メカ的にぶつかる音が軽快で素敵でした。また、作品同士のコラボ?でテトリスのBGMでテトリスができたのも楽しかったです。ありがとうございました!

マッキーさん

自作のモータユニットとソレノイドコンテストの作品を展示されていました。 モータユニットは将来的に四足歩行のロボットにする予定とのことです。稼働部にはモータを配置せず、膝の動力は根本からタイミングベルトで供給きているのが素敵な構成でした。他にも基板のサイズがぴったりで中央にはモータ制御用のエンコーダ読み取り素子が付いていたり細かいところまで工夫がされていました。

また、ソレノイドコンテストの作品も完成度が高かったです。ありがとうございました!

元ロボット芸人髙橋ちゃんさん

おなじみピピ美ロボと漢字の積み木を展示されていました。今までは徳だけでしたが、特や得もあったので色んな「とく」を積めました。

ピピ美ロボはとても快調で完璧に見えましたが、バッテリがだいぶ劣化してしまっているとのことでやはり誰しも水面下で苦労があるのだなぁと思いました。ありがとうございました!

音楽研究所さん

ロボットによる演奏の展示のイメージが強いですが、今回は名前の通りの作品も展示されていました。

私は猫ふんじゃったが途中まで弾ける位の腕前なので大した演奏はできませんでしたが陽気な曲が暗い雰囲気になり、その逆は逆の変化で色んな曲を弾ける人なら無限に遊べると思いました。ありがとうございました!

ちょうあい多面体さん

紐くじを引かせていただき、今治タオルが当たりました!その場ではお伝えし忘れましたが、このタオルは実は人間味マスクの運搬時に緩衝材として活用しています。もう一枚は家で普通に使おうかなと思います。他にも裏表UV印刷の超絶難易度のパズルや誤って文字を反転してしまったことを活かした手さげ等を展示されていました!ありがとうございました!

Kinnekoさん

人をダメにするスペースやシャボン玉のようなおもちゃ、同人誌を展示されていました。人をダメにするスペースは寝ようと思えばそのまま寝てしまえそうな快適さでした。ありがとうございました!

TMDものづくり工房さん

ビッグな座禅マシーンの展示をされていました。今回は和尚さんのいらすとやのイラスト付きで親しみが持てます。目を開けて動画を撮りながらという完全に舐めた態度で座禅をしてしまったので秒で喝を入れられました。ありがとうございました!

えとせとら研究所さん

買いたかった電子工作マンガを買えました。また、足踏み演奏装置の曲のバリエーションもたくさん増えていておそらくほぼ全曲聴かせていただいた様な気がします。テンポ早めの曲はライブにいってはしゃいでいる様な気分になってかなり楽しかったです。ありがとうございました!

理工学AtoZさん

主催の方のサークルです。お世話になってます。色々と展示されていましたが、改造リフロー炉の本と基板とリフローしたサンプルの基板とU字型のランプとSuicaの残高確認装置が印象に残っています。リフロー炉は非安定マルチバイブレータの基板を試験でリフローされていて軽快に動作していました!

ありがとうございました!

パスコンパス

今回は後光リュックの初お披露目でしたが、直前で3Dプリンタ製の継ぎ手が滑り上下機構が動かないという残念な状態になってしまいました。悔やまれます。次のイベントまでには金属製のものを発注します。他の新作は描き途中のメカトロ工作マンガ「めかとろろ」の7話と、機構キーホルダです。人間味マスクは準備中にコネクタがもげかけて冷や汗をかき、もげた影響か接触が悪くなったケースが何度かありましたがトータルでは順調でした。

まとめ

実はNT金沢の時は出展者が多すぎて周りきれず、ブログの記事にするのも諦めてしまっていました*1。NT富山は出展者数が個人的にちょうど良い規模感でとても好きです。また出たいです。ただ、冒頭にも書きましたが全てのブースでお話しお聞きできていなくてすみません。 主催の皆様、運営の皆様、出展者の皆様、遊びに来て下さった皆様、ありがとうございました。

NT東京は予定が重なってしまったので次の出展はNT名古屋かなと思います。その前にMakerFaireTokyoには見学に行く予定です。読んで下さり、ありがとうございました!

蛇足の余談

少し余談なのですが、今回見学者の方で「前お会いしたXのあの方かな?」と確信が持てない方が何人かいらっしゃいました。もし今後可能であれば見学のみの方も人助けと思って名札を下げていただけると大変ありがたいです。個人的に顔を覚えるのが苦手です。ただ人違いをしてしまうと失礼と思うとなかなかこちらからはお声がけしづらく、とはいえ初見の方の様な対応をしてしまうのも申し訳ないです。…とは書きましたが、自己主張しすぎるのも気が引ける気持ちも理解できるので難しいです。可能であれば位の雰囲気で読み流していただければ幸いです。

*1:誤解のない様に念のため書きますが、NT金沢のイベント自体はめちゃくちゃ楽しみました。

【めかとろろ】小説風番外短編・中学の頃の話

中学の頃の話

工作の手を止め窓の外に目を向けると、帰宅している生徒が目についた。この時間だから受験生か部活に属していない生徒かのどちらかだろう。

中学時代、八木山巡(めぐる)も帰宅部だった。これといってやりたいことがなかったのだ。そこはかとない無力感を感じながらも、高校でも部活には属さないつもりでいた。実際そうなっていただろう。この2人と出会わなかったら。そんなことを考えながら、隣に座っている同級生達へ目を移す。

「お めぐちゃん、私の工具さばきに見とれちゃった?」
目が合った椎名桐子(とうこ)が配線の被膜剥きの作業の手を止め、顔をこちらに向ける。長い髪がさらりと肩から流れ落ちた。

「いや、ちょっと中学の頃を思い出してて」
ぼーっとして心配させてしまっただろうか。少し慌てて答える。桐子はおどけている様に振る舞いながらも気を配る性格だ。メカトロ同好部のムードメーカーである。

「中学時代はお金がなかったけど今ならこっちのセンサを使った方が良いかな…」
電子部品の通販サイトとにらめっこをしながら、半田すずはぼそりとつぶやいた。同級生とは思えぬ知識と技術でこのメカトロ同好部を引っ張ってくれている彼女はいつも何かのものづくりに夢中になっている。

椎名の目が輝いた。「すずちゃん、どんな中学生だったの?」それは巡も気になっていた。一体どんな経験を経て今の彼女が生まれたのだろう。

「…」
残念なことに返事はなかった。つぶやきの主の思考は次のフェーズへと移り、選定した部品をどの様に組み合わせれば望んだ動きをさせられるかを何やらぶつぶつ唱えながら考えていた。この状態の邪魔をするのは気が引ける。もしかするとさっきも会話が成立したのは偶然で、ただの独り言だったのかもしれない。

桐子に目を向けるとウインクをしながら海外ドラマの様な大げさなジェスチャーで肩をすくめている。すずが集中して自分の世界に入ってしまうことは今までも度々あったため、2人共最近は慣れてきていた。

「椎名さんは部活とか入ってた?」質問の相手をそのまま発信者に返すのは無作法だろうか。昔のマンガにそんなセリフがあったと過去に桐子が言っていた気がする。中学帰宅部の私の話をしても面白くないので目をつぶってもらおう。

「何部に見える?」ニヤリと桐子の口角が上がる。質問に質問を質問で返された。質問返しについてはあまり気にしていない様だ。
「ピアノとか華道とか習ってそう」
「小学生の頃はやってたよ〜」
「運動部ではないと思うんだけど…」
「そこまでは合ってる!」

文化部となれば部活の候補は減ってくる。続けて推測する。

「うーん、文学部とか?」
「イイエ」
「美術部?」
「チョット近イ」

途中からスーパーAIロボットと化した桐子に質問を続ける。口元にかざしたハンディ扇風機が良い仕事をしている。

「映像研?」
「ハナレタ」
「あ、手芸部とか?」
「君ガ、チャンピオンダ!」

何のチャンピオンだろう?そんなことを思っていたら扇風機のトロフィーをうやうやしく手渡された。優勝の景品が「ロボットになること」だとしたら、とんだディストピアだ。

手芸部ダッタンダネ」今度は巡が声をロボット化させる番だ。
「細かい作業とか好きだからね〜」トロフィーを早速活用するチャンピオンに対し満面の笑みで出題者は答えた。

「めぐちゃんは何部だった?」
チクリと胸が痛む。
帰宅部だったよ」
「意外だ!」心底驚いた様子で桐子が目を見開く。
「めぐちゃん、絵うまいし美術部とかかなと思ってた」
勘が鋭い。絵は幼い頃は好きだったが、自分より優れた同級生を見かけてからはいつしか描かなくなっていたのだ。

巡の様子から何かを察したのか桐子はおどけた様子で 「まぁでもこれからはメカトロ部として天下取っちゃうもんね?」と、ボディビルの様なポーズでほとんど膨らんでいない力こぶをぺちぺち叩きながら微笑む。

「メカトロ部の天下って何なの」軽くツッコミながら巡は苦笑いをする。くだらないやり取りが心地良い。分かりやすいボケは桐子の十八番だ。「過去がどうあれ今からここで楽しくものづくりをしよう」という彼女なりのメッセージなのかもしれない。

そうだ。これから3人は自分の発案でこれから後光がさすリュックを作るのだ。受動的に娯楽を楽しむのも悪くないが、何か未知のものを作るということに得体の知れないワクワク感を抱いている。


下校を促すメロディが流れ、本日の部活の終わりが告げられた。まだ脳内でコードをこねくり回しているすずに声をかけると巡は部室の後片付けを始めた。

中学時代の無力感を最近は感じていない。更に言うと彼女自身はそれに気づいてすらいなかった。巡自身も次の工作のことで頭がいっぱいなのだ。季節は春から夏に変わろうとしていた。

あとがき

小学校の作文の授業以来小説なんて書いたことがなかったのですが、何だか勢いで書いてみました。拙くても問題ない初心者なので今は比較的無敵です。やれることはやってみましたが、もしかしたら読みにくいところがあるもしれません。すみません。

書こうと思ったきっかけは響け!ユーフォニアムという作品の原作小説を読んだら、アニメでは読み取れなかったモノローグの視点の描写がめちゃくちゃ良かったことでした。めかとろろのマンガも文字ベースでセリフのプロットを書いてからマンガに起こしていますが、読みやすさのためにセリフを短くしたり画力が表現したいことに追いついていなかったりするので違う表現をしてみたかったというのもあります。とはいえ文字でも無限に長くしていい訳ではないので2000字以内と決めて書きました。作業時間は色々直したりしつつ4〜5時間位だと思います。

4コマでないストーリーのマンガもいつか描きたいなぁと思っています。ただとにかくマンガを描くのには時間がかかるので、何とか効率をアップさせたいです。とはいえ絵をうまく描けるようになるには時間をかけないと無理だと思うので難しいですね。やりたいことが多すぎる。

読んで下さり、ありがとうございました!

【ネタバレ】響け!ユーフォニアム特別編 アンサンブルコンテスト感想

響け!ユーフォニアムという京都アニメーション吹奏楽がテーマの作品が好きなことは過去にもブログに書いていましたが、今回新作の60分の特別編が公開されたので感想を書きます。ネタバレします。 最初にお詫びしますが、観てない人が読んでも全くわからないです。すみません。観てからまた読んでいただけたら嬉しいです*1

もしくは「今後観る予定はないけど、オタクが早口で感想を言っている感じの文章は読みたい」という稀有な人は読んでみてください。

こちらは過去に京都の宇治の聖地へ行ってきた時の記事です。

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OPが良すぎた

新作今回4年ぶりみたいです。新しくしゃべって動いているのを観るだけで感慨深いです。写真が並んでるシーンで写っているキャラがみんな楽しそうで何だか説明ができないですがグッときてしまいました。隣の人が鼻をすすっていたので釣られてしまったのはあるかもしれません。事件のこともあったので続きが観られて本当に良かったなぁという思いで胸がいっぱいになりました。

解像度が上がった(私の)

聖地に4回位行っているので新作なのに見覚えがある景色があります。例えば「帰り道の坂が映って、コンビニが映る何気ないシーン」も地理関係が肌で分かっているのでセンサで感じられる分解能が明らかに上がっています。キャラが本当にそこへ通学して生活していても別におかしくないと思えるレベルです。今まではこちらのサイトや他のサイトを参考に作中と一致する場所を探していましたが、もしかしたら自力でも見つけられるのではないかと思えてきました。

ぶらり聖地巡礼の旅 響け!ユーフォニアム2【 場所別まとめ 】

窓を開けるシーン

鎧塚先輩と久美子のシーンが良かったです。「窓を開けるのが上手い」=「相手の心を開いて悩み事を聞くのが上手い」というダイレクトな比喩と受け取りました。その後に鎧塚先輩自身が窓を開けることが上手くなってのぞみ先輩に間接的だけでなく直接お礼を言うというシーンは2期やリズと青い鳥を観た後では2人の関係が変わって鎧塚先輩側からは自分から心を開いて話ができる様になったことが分かって良かったです。のぞみ先輩側がどう思っているのかは私にはまだ正直計り知れません。リズの解釈は色々あると思います。

牧誓さんはツインテールだった

最後のシーンで各グループの写真が映りますが、牧誓さんがツインテールでした。ポニーテールだと思ってました。なぜこのキャラクターに注目したかと言うと生まれて初めて二次創作のマンガを描いたキャラだったからです。きっかけは公式X(当時はTwitter)のこの毎日部員紹介というツイートがきっかけでした。この角度で奥の髪を見落としてしまったためポニーテールで描いてしまいました。悔やまれます。もっとちゃんと調べればよかった。

↑この毎日部員紹介。めちゃくちゃ良かったです。相関図を自分で作りたくなる位です。作ろうかな。明日作ろう*2。場所の解像度は聖地巡礼で上がりますが、本編で触れられていないキャラの成分を公式から摂取できる貴重な機会だったと思います。こちらは投稿したマンガです↓。

水道場のシーン良!!!

久美子と麗奈が水道場で話すシーン最高でしたね!!!!すぐに誘ってもらえず不満だったことを言って、実は「断られたらと不安に思っていた」と打ち明けるというところ!!! 最初は一緒に組んでくれると信頼してた、実は奏ちゃんは誘っていないと余裕がある風に振る舞っていたのが、実は麗奈側にも葛藤があったというところ!、! それは久美子も満面の笑みになりますね。 ええ、私も満面の笑みになりました。 この文章読み返したらどう思うのか不安ですね。でも絶対に今しか書けないので書きます。

作品に何を求めるかは鑑賞する方の自由ですが、私は個人的にはユーフォはシンプルに作品として楽しんでいる方だと思います。一線を超える感じの二次創作はちょっと解釈違いです。2人の距離感は公式の「恋愛的には滝先生が好きで、強い友情の延長の感情を向けている感じ」がマジで良いです。のぞみぞれの重たさも嫌いじゃないですが、現時点ではメイン2人はあの感じが最高です。3年生編の小説はまだ読んでないので関係が変わるのか等知りませんが公式が正義なのでどうなっても受け入れます。変わらなそうな気はする。また、繰り返しになりますが、ここに書いたのは私の楽しみ方であり他の方の作品の楽しみ方その他にとやかく言うつもりは全くありません。自由でいいと思います。私がどう楽しんでいるかを書いただけです。念のため。

奏ちゃんあざとい

劇場版の頃からですが、動きや表情がいちいちかわいいです。ボクシングの動きとか封筒を出した後のちょっとおどけた感じとか所作がすごい。少し照れるシーンも良いです。 かわいいのですが、それにしてもこの子は何を考えて行動しているのか私にはあまりわかりません。劇場版3の引っ搔き回す様な言動は物語やキャラクターとして魅力的ですが、自分でそういう動きはしないですしできないです。小説を書ける方はすごいなぁと思うばかりです。私も趣味でマンガを描いていますが、自分の思考パターンにない行動をキャラクタにさせることができないので出てくる登場人物、基本ものづくりが好きです。浅い人生経験が露呈しています。干渉しすぎるのも嫌だと思っていしまうので序盤の久美子の感じに近いかもしれません。だからこそユーフォの登場人物が葛藤しながら前に進んでいく様子に心惹かれるのかもしれないです。

久美子とつばめちゃんとマリンバを運ぶシーン

ここもめちゃくちゃ丁寧でめちゃくちゃ良かったです。前を下ろしてしばらく運ぶところは前と後ろで押していたのが後輪を上げる時に並んで持ち上げて最終的にはつばめちゃんが押しているのをしばらく見送った後に嬉しそうに手伝う久美子。 ダイレクトに成長して先に進んでいった表現かなぁと思いながら観ていましたが、同時に「早く見てないで手伝ってあげて」とも思ってしまった。 マリンバを段差がある地面でこうやって運ぶんだとおそらくユーフォがなければ一生考えもしなかったと思います。わかりやすい比喩はわかるのですが、おそらく気が付いていない表現も色々あるのだろうなと思います。そういったところに気が付ける様になりたいです。おそらく自分が創作する時にも活かせると思います。

劇場ならでは

最初の投票方法を決める前のシーンで久美子が「見るな見るな…」と心の中で連呼するシーンがありましたが、ここで何人かの方の笑い声が聞こえたのが印象的でした。1人で家で見ていたら知り得なかった他の人のリアクションを見られたなと思います。これだけでも映画館へ行った価値があったと言えるかもしれません。

夏紀先輩、優子先輩

相変わらずの掛け合いが見られて嬉しかったです。対応に慣れている久美子と放置していいのか心配する奏の対比も過ごした年月の違いがスッと表現されてて素敵でした。

まとめ

とりあえず初日に観に行って印象に残ったところを徒然なるままに書き連ねてみました。本編と違ってすごく派手な?シーン等はなかったですが、日常の空気感が感じられてとても良かったです。日曜は京都へ舞台挨拶を観に行きます。名古屋飛ばし許すまじ。舞台挨拶は初めてなので楽しみです。会場限定のBDも無事に買えたのでパンフレットと衝動買いしてしまったでかいパラパラマンガの様な本と共に予習をしようと思います。

来年春の3期、楽しみでもあり終わってしまうと考えると寂しさもあります。あんまりここまで入れ込んだ作品が終わったことないかもしれない。他には個人的にひだまりスケッチが非常に好きなのですが、こちらもそろそろ終わってしまいそうですがまだ続いています。

原作小説は短編1しか読めていないのでその辺りも読みたいですね。読んで下さりありがとうございました。

追記(相関図)

相関図を作りました。パート別とアンコンのチーム別です。一覧で可視化することが目的で画像と文章は公式X(当時はTwitter)から引用しています。未見の人が引いてしまわない様に書きますが、このキャラ一覧を覚えたり理解する必要は全くありません。しゃべらないキャラの方が多いと思います。サブキャラにも細かく設定があるのだなと驚いてまとめてみたくなったのが今回の動機です。

主に関係に明記があるものを矢印で可視化↓ 結構楽器で人数が偏りがあることがわかります。 3年生が抜けているのも大きいかもしれません。

チーム別↓ 意外と先ほどの図の仲がいいメンバーが固まっているわけでもないのが面白いです。 逆に仲が良い同士で固まっているのもそれはそれでほほえましい。

*1:時間があればTV版から観ていただけたらいいのではと思うのですが、ない場合は最悪劇場版の1作目だけでも観てみていただいて気に入ったら映画館で今作を観ていただけたら良いのではないかと思います。映画館で見られるのは今だけなので。いや、でもやっぱできるのであればTV版1,2と劇場版3(もしくはやはり最低劇場版の1~3)を観てから今作の方が流れが分かるので良いですね。勧めるのって難しい。

*2:作りました。追記をご覧ください。

【レポート】犬山からくりミュージアム他に行ってきた

関東から友人が愛知まで遊びに来たので一緒に犬山の辺りを観光しました。 からくりミュージアムを中心に簡単なレポートをします。面白かったです。

からくりミュージアム

ホームページです。 IMASEN 犬山からくりミュージアム « 犬山観光情報

動画はこちらのツイートをご覧ください。定期的にデモをして下さるのでそこに合わせて行けると良いです。私はたまたまタイミングが合いました。

4月にお祭りをやっているそうです。また、山車(だし)ではなく山(やま)という名前で御神輿を呼んでいて、中に複数人の人が入って人形の操作をします。

他にも色々なからくり人形が展示してありました。人間でも難しいポーズ。

なんとも言えない表情。舌を出す様です。

カムで口に咥えた筆と手の筆で同時に文字を書く人形の説明図。これも人でも難しそう。

茶運び人形とその部品。カムがぶつかることで車輪の向きが変わり旋回するそうです。

犬山城明治村

他には犬山城にも行きました。

良い眺め。

その後は明治村に行きました。明治村は謎解きが面白かったのと灯台のランプ周りの展示が迫力がありました。

まとめ

犬山観光の記事でした。からくりミュージアムをメインに据えて行くというよりは犬山城明治村も一緒に行くことをおすすめします。*1

私は愛知県に来てまだ数年なのでまたそのうち面白そうなところに出かけたいなと思います。特に気になっているのはヤマザキマザックの工作機械ミュージアムです。読んで下さりありがとうございました。

*1:犬山城とからくりミュージアムは電車から歩いて、明治村はバスで行けます。

【レポート】明和電機のプロトタイプ展を観てきました

東京に行く用事があり、気になっていた明和電機のプロトタイプ展を観て来れました。写真OKだったのでレポートします。

【展覧会】明和電機のプロトタイプ展 - 明和電機 - Maywa Denki明和電機 – Maywa Denki

タイトル通り、今回の展示ではプロトタイプの検討中の作品が多く展示されていて興味深かったです。

壁の説明(撮り忘れた)によると京セラとのコラボの企画の様でした。「ペルチェ素子」、「圧電素子」、「単結晶サファイア」となぜか「燃やした新聞紙」を使ったプロトタイプがずらっと並んでいました。いくつか紹介します。

ペルチェ素子

ペルチェ素子は電流を流すと、加熱や吸熱をする素子です。

密閉した空気を加熱し、風船の様に膨らませる検討の試行錯誤の様子が展示されていました。お湯が沸く位温度が上がるとは知らなかったです。最終的には花が開く形になった様です。かっこいい。

圧電素子・単結晶サファイア

圧電素子は電圧をかけると歪む、もしくは圧力を加えると電圧が発生する特性を利用する素子です。今回は主に前者の使用方法でした。

ピエゾ君は腕の重さに素子が耐えきれずに没になっています。普通、ボツになったものは見られないので、そう考えると今回の展示会は貴重です。

ピエゾ君 ver.2↑ 最終的には単結晶サファイアを叩くチャイムになったり、

シンセサイザの信号と鏡を使ってレーザ光の位置を変える作品になった様です。

燃やした新聞紙

このメンツ(素子)の中でなぜ燃やした新聞紙があったのか説明書きの写真を撮りそびれてしまったので振り返ってみると謎ですが、これが直接遊べて一番楽しかったです。

手前のフィルムにアルミ箔が貼られており、背面に燃やした新聞紙が貼ってあります。左のつまみがボリューム、右が音程です。また、新聞紙なのでよく見ると文字が読めます「ピンチ」↓

内部の構成の詳細は分かりませんが、おそらく内部に発振回路があり、ポテンショで周波数を変えているのではないかなと思います。そしてアルミ箔と新聞が導通するとスピーカから音が出る様な仕組みじゃないでしょうか。

↑社長の「触っていいよ」の説明書き。慣れるとそれっぽく演奏できるので楽しいです。今度似たものを作ってみたいです。

オタマトーンのプロトタイプ

上記のコラボ以外にもあのオタマトーンのプロトタイプも展示されていました。これから行かれる方は2Fにあるので見落とさない様にご注意下さい。

あえて演奏するのを難しくしているんですね。 下手な人に優しく逆に超絶やりこんだ人はうまい演奏ができる意図された絶妙なバランス?

まとめ

試行錯誤の様子を見るのは面白いなと改めて思いました。私も失敗の様子も含めてTwitterに残していこうと思います。最近雲行きが怪しいですが…。

また、作品は紹介しきれていませんしやはり現物を見るのが一番なので、会期中に行ける方はぜひ直接行かれることをおすすめします。読んでくださり、ありがとうございました!